2022-01-01から1年間の記事一覧
人ぎらいなわけではないのに、どうして一人でいる方がずっとずっと落ち着くのか。 ここしばらくずっと考えていて一つの結論にたどり着いた。 たぶん私が本当に嫌いなのは、二人称の状態で誰かに所有されることなのだと思う。 所有というと言葉の範囲が狭いけ…
映像でもない、言葉でもない、けれどもその両方の特性を持ったイメージがふっと立ち昇ってくることがある。 そういう話をします。 会社の人に「バリバリ働くの向いていないっていうか……今の職種向いてないっていうか……」みたいなことをゴニョゴニョ告げたの…
昨日、仲良くしてもらっている方と「覆水盆に返らず」という言葉の話をした。今日の仕事中、自分の部屋でコップに手をぶつけて思い切り麦茶をこぼした。いや〜なタイムリー具合だ。 パソコンは無事だったけど、個人的に大事にしたかったものが水没するなどし…
肝心なときに、何もしてくれない。 ばちぼこに嫌なことを今まさに経験しているとき、決まって音楽はそこにいない。 代わりに鼓膜を震わせるのは誰かの罵声、苛立ちを隠そうともしないため息、耳に入るだけで苦しくなるような轟音。 あるいは、徹底的な無音。…
なんだか、私には罪悪感以外何もないような気がしている。 前から薄々感じていたことだ。 恥ずかしげもなくブログに書くようなことでもないが、自分以外の他人と話す時、私は相手を分類している。 その区分がなんなのかごく最近まで分かっていなかったけれど…
人間という生き物は、夜よりも朝の方が身長が高くなる、と聞いたことがある。 朝起きてベッドに入るまでの間、身体を縦にしていることで重力の影響を受けて背が縮むとかなんとか、そんな話。夜の間できちんと元に戻るのか、その辺の話は分からない。 もしそ…
非情な身体が心を引きずって無理くり外に連れ出しているような感じ。 不健康でない、至って元気、目に見えない耳で聞こえない何かが真綿のように首を絞めているだけ。 見えなくて聞こえないなら幻覚と同じだし無視すればいいのに、それができず、逃れるため…
意味を成す記号に収束していきたくありません!! と思うのは、実際のところ私が記号、アルファベットで言うところの“e”程度にはありふれた性質を持っているからなんだろうな。 嘔吐が出来ない代わりみぞおちのあたりに指を突っ込んで、なけなしの自分らしさ…
夜ふかししてからシャワーを浴びるのはよくない。 シャワーを浴びている時間は、自転車を漕いでいるとき・洗い物をしているときに次いで何かを思いつきやすい(私調べ)。 おかげで週の中日にすら達していない中途半端な火曜の夜中、こうしてブログを書くはめ…
夜ふかししてからシャワーを浴びるのはよくない。 シャワーを浴びている時間は、自転車を漕いでいるとき・洗い物をしているときに次いで何かを思いつきやすい(私調べ)。 おかげで週の中日にすら達していない中途半端な火曜の夜中、こうしてブログを書くはめ…
ようやく自分の生きづらさに合点がいった! と思っているだけできっと実際のところそんなに上手くはいかずまた泣いたり喚いたりするのだろうけど。自分の中の、曇ったまま永久に晴れないと思われた部分に少しずつ切れ間が見え始めたので、やっぱり何かの一区…
一回温かくなって、その後またすぐに寒くなったので、身体が季節を秋と勘違いしている。 半分嘘だ。 一週間近く部屋の中に引きこもっているために、私にはほんとうの気温が分からない。 窓を開けたとき入ってくる風は、外の空気であって既に内(家)の空気だと…
裏表のある人間だと思われることがたぶん一番こわくて、というか嫌で、実際その印象はまったく的を得ていないと思う。 八方美人、と思われるのは仕方ない。相手に合わせて態度を変えている、と、見えるかもしれない。実際そんな器用なことはしておらず、すべ…
指先までぴしりと整った二本の手がくるくると回り、うねり、握り込まれた包丁は生きているかのように踊る。彼はつまりそういう類の曲芸師で、そうであるなら普通は飾りのついた大ぶりなナイフを使うところ、どこにでもある簡素な包丁を使って見事な技を見せ…
先輩は、いついかなる時でも手袋をしていた。 頭の真上で太陽がぎらぎら光る昼下がりでも、戯れにピアノを触る時でも、一緒にディズニーランドで遊んだ帰り道でも、先輩が手袋を外すことはなかった。学年が違ったからプールの授業の時どうしていたのかは知ら…
音楽とか川とか季節とか電車の外を流れる風景とか、つまりは、流れていくものが好きだ。 ひとところにとどまらず形を持たず、境界があいまいなようできちんと区切られていて、それでも掬い上げようとするときちんとこぼれ落ちてくれる、そんなものが好きだ。…
通っていた高校は、私の家からだいぶ遠かった。バスと電車を使い、駅から高校まで山を越え谷を越えて歩き、全部で2時間弱。友達や彼氏と話しながら歩く道のりを除いて、ひとりの時間、私はずっと音楽を聴いていた。 もともと私は、特定のアーティストの曲を…
暗い帰り道、肩をすぼめて歩いていたら、急に雷の音が聞こえた。 聞こえた次の瞬間には、それが雷の音でないと分かっていた。そして、寒い夜に雷の音なんて聞いたらきっと“畏怖”してしまうだろう、そんな風に思った。 畏怖という言葉は普段なかなか使わない…
みたいだねと彼女が言ったので、僕は少しだけいらいらした。みたい、ではなく、実際それは謎かけだった。 表情が崩れないようそっと右頬の裏を噛んだら、歯の跡がついたそこは口内炎のように膨れていた。変なこと言って僕の気を引きたいだけなんだきっと、そ…
外に出て息を吸った。 薄いけれども硬い氷の内でこっそり呼吸をはじめたみたいな春! せわしない人間はなんと息の吸い方まで忘れてしまう。 呑み込みすぎた空気は胃から出て、喉を通り、また空気に還ってゆくのだった。おわり。 知り合いと指を絡め合う夢を…
春夏秋冬、どの季節が好きですか?という質問が苦手だ。全部好き!いつもそれで済ませている。 でも。特筆すべき季節があるとするなら、それは冬、それから夏だと思う。 冬は地面に吸い寄せられる季節。冷たい空気は身を引き締め、自分と世界の境界線をはっ…