1 マスクを取ると、新鮮な空気が一気に肺へなだれ込んでくる。春だ。 わたしは春が好きだけれど、得意ではない。冬の間寒さを凌ぐために小さく丸まり、硬さを保ってきた外殻のなかで、春の空気を吸って柔らかくなった心だけが暴れだす。そんな身体は持ち合わ…

1 なにもかもめんどうだ。今すぐに寝たいが寝るのもめんどくさい。明日が来てしまうから。 でも化粧だけは落とす。にきびができたら痛いから。 2 いびつな庭/走り続けると息が苦しい/聞き分けの良すぎる子どもたち/カタルシス/永遠の夏 (誰も知らない/2004) …

おとといのこと 上司に、すごくいいレストランに連れて行ってもらった。 すごくいいレストランなのは分かっていたから、美味しいですありがとうございますって言わなければ！と思い、なにか食べるたびしきりに嬉しそうな顔をするようにしていた。実際とても…

無精をして会社用のパソコンにつなぐ電源コードを私用パソコンに刺そうとしたら、型が合わずにつなぐことができなかった。型が合わない、だと！ わたしも型が合わないという理由で社会人という肩書きを放棄したい。合っていないのに無理にコードを差し込んだ…

1 わたしは、ごくごく普通の外見をしている。顔面偏差値というものがあるなら、たぶんわたしのそれはぴったり50の数を取るだろう。中の中の中。 そんなわたしにも、ひとつだけ褒められる外見的特徴がある。それは笑顔。 知り合って日が浅い人、出会ったばか…