暮らす豆

ゆるい日記など

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ほろ苦い

1 財布の中身を整理している少年を見た。 レシートを広げたり、また戻したりして忙しそうだったけれど、その中に紛れていたおみくじは畳むことなくじっくり眺めていた。 彼が握っていたのは、吉か凶か?見終わった後やけに丁寧に折りたたんでいたから、もし…

はかないよ

1 お昼によく行く定食屋さんがある。 何を頼んでもおいしくて、さらにひとり分が大きい。今日はカツカレーを食べた。 ウェイトレスのおばちゃんは、おっちょこちょいだけど優しい人だ。ちょっとのことで「すみませんねぇ〜」とわたしを「お姉さん」と読んで…

泡となって消える

手に持ったスポンジをぎゅう、と絞る。泡のついた手を広げると、使い込まれたそれは大儀そうに広がった。 「私が言いたいのはさ、世間からしたら私みたいな楽な親は珍しいんだってことよ。だってそうでしょ、私あんたに勉強しろとか一度も言ったことないし。…

正しいこととは

1 きのこは、「茸」とも「木の子」とも書くらしい。 そういえばきのこって一体何なんだろう。菌類だということは分かるが、それ以上なにも説明できない。木の子どもでないことだけは確かだ。 2 「はい、はい。まさにおっしゃる通りでございます…大変申し訳ご…

ナチュラルとは

1 よく歩く通りに、年中貝がらでできた風鈴を提げている家がある。 そういえばあの風鈴の音を聞いたのは、風が強い夏の日一度きりだった。 音色にいたく感動したはずなのに、もうどんな音だったか思い出せない。 しゃりしゃり、しゃらしゃら、どっちだったか…

留めて流す

1 首に布を巻きつけたらあたたかい、ということを解明したのはどこの誰だろう。ありがたい。合掌。 2 仕事ができて常に冷静な上司が、パワポを全画面表示するとき小声で「ピッ」と言うのを聞いてしまった。 F5キーと一緒に、ちょっとしたラッキーを噛み締め…

守ること

1 東京には、「護国寺」なる寺があるそうだ。「国を護る寺」というワードの衝撃たるや!その名を背負って立つ寺、きっと立派に違いない。見たことはないけれど。 2 ちょうどお昼頃、ものすごくゆっくり歩く人を見た。 3秒くらい見つめていても立ち止まってい…

一匹の休日

1 今日は8時半に起きるはずが、うっかり10時まで眠ってしまった。冬のふとんはどうしてこうも心地よいんだろう! 半分身を起こして開けたカーテンから漏れる陽の光に驚く。 この光を浴びられるうちに外へ出たい!と強く思ったけれど、願いは叶わず曇り空の中…