さいきょうの寝巻き
だめだ、と思った時は素直に涙を流すようにしている。
私がだめだ、と思うのはきまって周りに人がいないので(人がいると自分が“だめ”になっていることに気づけない)、特に支障はない。
側にあったペーパータオルで涙を拭いてポッケに突っ込み、何食わぬ顔で外に出る。
泣いたことも忘れてスカートをそのまま洗濯してしまい、黒い服にペーパータオルの欠片と涙が絡まってしまったのは、また別の話だ。
呼吸することについて延々と考えていたら、そのうちゲシュタルト崩壊して上手く息ができなくなり死んでしまうのだろうか。
きっとすごく苦しくなるだけで死ぬことはないだろう、やってみたこともないが世間一般的に人生ってそんなもの、と思う。
自分の中の矛盾と折り合いをつけて前向きに生きようと思える朝は、果たしてやってくるのだろうか。
繊細で鈍感、意思が弱くて強い、真面目で怠惰、その他諸々……
この矛盾、そしてそこから生じる罪悪感を誰にもうまく説明できないので、次に日常で感じることがあればメモでも取ってやろうと思う。
自分自身が嫌で仕方ない一方、私は誰より自分自身が可愛くて仕方ない。
自分自身の探究にだけは微塵も手を抜かないことから明らか、本当に、嫌になる。
あーあ。
ヒヨウタイコウカとかコウリツカとか真面目な顔して口にする私はちっとも私ではなくて、だから私は試験管の中で分離してしまった。
細いガラス瓶を力の限り振らなければ私はうまく混じらなくて、だからほら、家にいる間はずっとぐったりしている。
抜け出さなきゃいけないと思いつつ、抜け出さなきゃいけないという思考を維持し続けるのは難しい(分離した私は弱いので)。
あーあ。あーあ。
会社が潰れてしまえばいいのに。メンタルバブの他力本願寺本山はそんなことを日々願いながら出社する。
私のこれってきっとありふれた感情で、そんな感情により電車が動き蛇口からお湯が出て、つまり生活は回る。うつくしくて異常だ。