何も生み出さない海
自分のことは全部自分で決めたいと願う気持ち、大いなる流れに乗り漂うように生きていたいという気持ち。相反するようでいて矛盾なく私という容れ物の中に大人しく収まっているので、不思議だ。
でも時折それらは暴れ出して、どちらかが強くなったり弱くなったり、バランスを崩すことがある。
そんなときは大抵、すべての物事から全力で逃げ出したくなってしまう。実際に逃げ出す勇気はないので、実際は地獄のような顔をしながら電車に乗りマスクの中で鼻水を流すにとどまっているが。
涙を我慢したら鼻水が出るの、なんだか自分が一個体であるということを思い出せて良いな。なんて後からは思えるけど、実際は気持ち悪いのなんの。マスクをしている生活にありがたみを感じる数少ない瞬間!
と、いうわけで、私は生きている。悠々と歩くほどの余裕も這いつくばるほどの覚悟もなく、中腰みたいにへんな姿勢のまま。生きている。