暮らす豆

ゆるい日記など

秋の便り

10/1-5

 

 

最寄り駅で電車を降りたら、ふらふらと金木犀の香りが漂ってきた。駅のホームで見かける酔っ払いみたい。私は酔っ払いも金木犀も好きじゃないんだ。

私はどうしても、金木犀の香りから死を連想してしまう。腐りかけた命が放つ、強烈な甘い香り。

家に帰り着くまで道のり、一度も金木犀の花を見かけることはなかった。

 

 

生理はつらいけど、定期的に生理が来てお腹が痛くなってくれるおかげで私は私の身体を労わることができている、という気もする。全力で何かに打ち込みたいときには必ず障害になるけど、そうじゃなくて心のどこかに迷いがあって、これ以上頑張り続ける必要はないんじゃないか、そう思ったときに生理があったおかげでふっと勝負を下りることができたりする。怠け者だからそういうことを思うのかもしれない。

 

 

最近Twitterで「落ちた声を拾う」というアカウント(@ochita_koe)をフォローした。すれ違った人の声を拾ってつぶやくアカウントらしい。こぼれ落ちた日常の中に意外性が隠れていて、眺めていると心が和む。

朝ホームで電車を待っていると「もう誰も信じられない」というつぶやきが聞こえた。顔を上げると、各々手作りと思しき布マスクをつけたおばさま方が、はしゃいでいるとも呆れているとも取れる独特のテンションでお話しているようだった。

彼女たちはあれこれに文句を言いつつ、それなりに楽しく会話しているようだった。そんな言葉の中からわざわざ「もう誰も信じられない」を拾い上げてしまう自分の精神状態!ため息をつく間もなく、私を輸送してくれる電車がホームへ滑り込む。