暮らす豆

ゆるい日記など

夜露

6/5

金曜日。昨日の絶望を引きずりながら、ひどく効率の悪い仕事をした。

 


私の部屋、特に机の上はすごく汚い。読みかけの本と万年筆と使い古した筆箱となんらかの紙と大学時代の教科書とイヴ・サンローランの口紅が2本と、とにかくいろいろなものが置いてある。毎日それらを脇にどけてパソコンを設置し、そこで仕事をしている。

身体のだるさも相まって夕方くらいまで全く仕事のやる気が湧いてこず、イヴ・サンローランの口紅ばかり見つめていた。全く夢のように可愛らしいパッケージをしているせいで、いつまででも見つめていられる。

 


まったくひどい一日だったため、何かひとつでもいいことをして取り返してやらなければ!と思ってAmazonプライムビデオを開いた。

今日は「西の魔女が死んだ」を選んだ。小学生の時に映画館で見て、その頃の自分にしては珍しく涙が止まらなかったのをよく覚えている。

梨木香歩さんの本はすごく好きだけど、そういえば同作は一度読んだか読んでいないかくらいであまりストーリーが頭に残っていない。これだ、と決めて部屋の電気を消し、小さなスマホの画面で鑑賞した。

 


魔女として生きるのは、簡単なようで難しい。自分で決めて、それを実行すること。

ごくごく単純な話だが、失敗を自分のせいにしたり他人のせいにしたりと日々目まぐるしく移り変わっていく私の心には、結構鋭く刺さった。

 


映画を見終えてすっきりとした気持ちでTwitterを眺めていたら、「ストロベリームーン」という言葉が目に入ってきた。そうか、満月は今日だったのか。

 


こっそりと家族の寝静まった家を出て、月を眺めながら散歩した。ストロベリーなのかは分からないけれど、うっすら霞のかかった満月はなるほどとっても綺麗だ。お椀の形にした両手で包み込んでやりたい愛らしさ。

 


近くのコンビニでアイスを買って帰りながら、夜中にひとりで実家を抜け出すのは初めてだ、と思った。23歳にもなって、親に心配されるのが嫌で夜の散歩すらしてこなかった。とんだ箱入り娘だ。

月を眺めながら道路の真ん中を歩いて、これは自分で決めたことであり、自分で実行したことだ、と思った。楽な道でもいい。大切なのは自分で道を選ぶことであり、自分でその道を歩き続けること。

 


今日の一曲:

by the air/yutaka hirasaka

https://music.apple.com/jp/album/by-the-air/1169442758?i=1169442852