揺らぐ
1
久しぶりの長い休日。
わたしは、くまのプーさん流に言うなら、「何もしない」をしている。まさに満喫している。
前に進もうとしない人間は駄目だ、とわたしなのか他人なのかわからない声に責め立てられるけれど、それでも動かない。強靭な意志を持って休む、というのも人間にはきっと必要なのだ。と言い聞かせながら。
2
客観視するのが最も難しいのが自分自身であるとして、その次に難しいのは家族ではないだろうか。などと、湯船に浸かりながら考えていた。
家族はプライベートを互いに分け合って暮らしている分、パブリックな部分を知ることは非常に難しい。
わたしの母は、活動的な人だ。知り合いとの飲み会にも積極的に顔を出し、楽しそうに騒いでいることが多い。
だが決して大雑把な人ではなく、むしろとても繊細な感覚を持っているように思う。「母だから」という先入観を差し置いても勘が鋭いし、微妙な感情の揺らぎを子に見せようとしない。
その頑なさが、余計に脆さを際立たせているのかもしれないけれど。
子どもにこんな風に観察される日が来るのかもしれないと思うと、やはり親になるのは気が進まない。