実体
1
携帯のメモに「夢のコインランドリー」という文字が残っていた。
夢でしか見ない景色、起きているときには全く思い出せないのに夢で訪れると「前に夢で見た」とはっきり思い出せる、そういう景色について書こうとしたことは覚えている。
起きてから時間が経ってしまったので、いま思い出そうとしても夢の中のコインランドリーは雲のようにつかめない。
2
冷めきったカフェラテを飲み干した。どんな味か知らないはずなのに、人工甘味料が舌につく。
3
ゆっくり歩くことが好きだ。時間は有限なのだから少しでも活動して少しでも価値を生み出すよう世間は呼びかけてくるが、そんなものは休日のわたしには関係がない。与えられた48時間を、あてのない散歩に使う。反抗心と呼べるほどのものではないけれど。