一匹の休日
1
今日は8時半に起きるはずが、うっかり10時まで眠ってしまった。冬のふとんはどうしてこうも心地よいんだろう!
半分身を起こして開けたカーテンから漏れる陽の光に驚く。
この光を浴びられるうちに外へ出たい!と強く思ったけれど、願いは叶わず曇り空の中家を出る。
2
maison book girlを聞きながら電車に乗る。
移動中は、よっぽどのことがない限りは音楽を聞くことにしている。
穏やかで幸せな音楽が聞きたいな、と思っていたにも関わらずわたしが選んだのはmaison book girlの「yume」だった。
ダークな世界観の裏側に見え隠れする高揚感は、意外とわたしの気分に合っていたのかもしれない。
3
文学フリマに赴く。
何度か流通センターに来たことはあったが、単身乗り込むのは初めてだ。
ろくに下調べもせず行ったのでまず試し読みコーナーへ、男も女も子どもも年寄りもいて、みんな本を手に取っている。何冊か気になったものをiPhoneのメモ帳に残して、いざ会場へ。
立ち寄ったブースで出会った人たちは、みな感じの良い人たちだった。ひっそりあこがれていた作家さんにも会うことができた。
言葉を紡ぐ人になりたい、という思いがひそかに強まる。
4
帰りの電車で、ひどく落ち込む。
こういうことはあまり珍しくない。これといった発動条件も対処法も見つかっていないので、そうなってしまったときは大人しく眠るしかない。
浜松町から新宿まで、ぐっすりと眠る。気分が回復しないまま近所のスーパーで買い物をして、なんとか家に帰りつく。
5
憂鬱に耐えて、なんとか人間らしく過ごす。
洗濯機の音を聞きながら、必死に昔好きだった人に連絡を取ろうとする自分を押さえつける。洗濯機ですら働いているのに、床にうずくまって、わたしは!という気分にもなるが、耐えるしかないのだ。
洗濯機が止まってしばらくして、ようやく動き出す。半乾きの服を干して浴室乾燥のスイッチを押す。煎餅を食べながら先月クリアしたゲームを起動して、延々とサブクエストを埋めていく。
一匹で過ごす休日は、こんなもんだ。こんな生活してても決して強くはなれないけれど、自分が自分であるために必要な日々であると信じたい。