はかないよ
1
お昼によく行く定食屋さんがある。
何を頼んでもおいしくて、さらにひとり分が大きい。今日はカツカレーを食べた。
ウェイトレスのおばちゃんは、おっちょこちょいだけど優しい人だ。ちょっとのことで「すみませんねぇ〜」とわたしを「お姉さん」と読んで何かと気にかけてくれるのがいい。大人になっても素朴であり続ける、その在り方はちょっとうらやましい。
2
小学校の頃行ったサマーキャンプで出会った男の子のことを、今日突然思い出した。
知らない子どもばかり集められたロッジで、その頃人見知りしなかったわたしはたくさんの女の子と仲良くなった。その女の子たちがみんな好きで、わたしもちょっと気になっていた、彼の名はリーチくん。
リーチくんはわたしと同じ小学5年生なのに、どこかすっきりと大人びた雰囲気だった。なんだか少し近寄りがたくて、ほとんど話すことができなかったのだけど。
キャンプファイヤーで手をつないだときの恥ずかしさは覚えているのに、肝心の彼の顔はおぼろげだ。はかない。
3
お金持ちは、タクシーに乗るものだ。
もっとお金のある人は、運転手つきの車に乗るものだ。
お金のないわたしは毎日歩くか電車に乗るかのどちらか、だけど、歩きも電車も悪くない。