正義の対義語
1
でろでろに溶けてしまいたい。生温い空気に身を任せ、永遠に固体と液体の狭間をさまよっていたい。
でも、冬はそれを許してくれはしない。冬はわたしに、決して揺らがない固体であり続けることを期待している。不純物が混じっていない冬の空気は好きだけど、不純物だらけのわたしはときどき居場所を奪われたように感じてしまう。
2
太陽に向かって3人で歩いた。とても眩しく、耐えかねて目を瞑ると、まぶたの裏まで真っ白だった。2人ともなんでもなさそうにお喋りを続けているけれど、平気なんだろうか。あまりにも身の回りすべてが白く染まっていて、わたしは後ろをついていくのがやっとだった。
3
人と過ごすことには、常に多かれ少なかれ罪悪感が伴う。ずっとひとりで本を読み、文を書き、音楽を聴き、時々は散歩に出たいのだが、現実はそううまくいかない。いまの生活から何か手放したら、心が軽くなるんだろうか。