鏡を見つめた
1
支柱に支えられながら、下に向かって大きく枝を伸ばす木を見た。
人と違う道を選ぶことでアイデンティティを保とうとする自分の姿をつい重ねてしまったけれど、あの木にはぽっきりと折れてしまうことを受け入れる覚悟があった。まだわたしはそこまで本気になれない。
2
久しぶりにお腹の筋肉がつるくらい、涙が出てくるくらい、笑ってしまった。心の底から笑える、こんなに満たされることはない。美味しいものを食べてぐっすり眠れば結構簡単に幸せを手に入れられるけれど、やはり好きな人たちと過ごすのがいちばん充足感を得るのにいいのかもしれない。
3
誰も傷つけずに、誰にも迷惑をかけずに生きたい、と日々思っている。だけどこれは虫1匹たりとも殺さずに生きようとするのと同じくらい、いやひょっとしたらそれよりも、難しいことなんだろうか。