暮らす豆

ゆるい日記など

不定形への憧れ

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わたしは、ごくごく普通の外見をしている。顔面偏差値というものがあるなら、たぶんわたしのそれはぴったり50の数を取るだろう。中の中の中。

そんなわたしにも、ひとつだけ褒められる外見的特徴がある。それは笑顔。

知り合って日が浅い人、出会ったばかりの人には決まって「笑顔が素敵」という評価をもらえる。その度に、そうか、とわたしは思う。

わたしは自分の笑顔が全然好きではない。頬骨が出ているから笑うと丸顔が強調されるし、もともと大して大きくない目は完全に糸になる。極め付けは、口元。笑った時に歯茎が出るし、大きめの前歯が飛び出す。

それでもわたしが笑顔でい続けるのは、それが人に不快感を与えないための一番簡単な方法だからだ。困ったときこそ、何をしていいのかわからないときこそ、より一層大げさに笑顔を作る。

内心途方に暮れているのに「笑顔が素敵だね」なんて言われた日には、心の奥底がカラカラに乾燥していってしまう。あなたは一体、わたしの何を見ているのだ?