持ち物
12/2
fuzkueに寄ってカポーティの「遠い声 遠い部屋」を読了。久しぶりに深く深く沈み込んでいくような読書ができて、大満足だった。一緒にランディングの屋敷も地中深く沈んでいった。私はfuzkueという場所がとても好きだ。
読み終えたあと、「詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」という言葉が頭に浮かんだ。当然カポーティの言葉ではないんだけど。
現代を選んで生まれてこれたのは私にとって幸せなこと、のはず、でも今の私は自分の進みたい道にまっすぐ向かうことができないな。
「遠い声 遠い部屋」を読み終えたあとには、くすんだ金色をした丸いドアノブと、きらきら光る夜露が残った。どうやったらあんな風に、美しいものを美しいまま描き出せるんだろう。
急行に乗れば早く帰れるのに、お尻が各駅停車の座席に吸いついて離れない。開けっ放しの自動ドアから冷たい風がずっと吹き込むので、足首がすっかり冷えてしまう。帰ったら急いで洗濯機を回さなきゃ。明日着る服もないんだ。
変拍子の音楽には輪郭がないので、聴いているうち自分の外殻も静かにほどけていくような気がする。リラックスするあまり自分の中身がこぼれ出してしまいそうなので、今日はカーテンをきっちり引いて、真っ暗な中で眠りたい。誰にも見られないように。
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