暮らす豆

ゆるい日記など

橙色

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たった3分待てば電車がホームに滑り込んできて、私はどこへだって行ける。膝に手をやると、どこまでもすべらかなストッキングの感触が恨めしい。

 


早い方に乗って悪いことはないのに、なぜか急行を選ばず各駅停車に乗ってしまうことがある。不思議とそういう日の方が息がしやすい。

 


どうでもいいことをいつまでも覚えていることってよくある。

Twitterを始めたばかりの高校生時代「電車の中にいる人、みんな携帯見てるか寝てる。誰も現実見てない」というツイートを見かけた。上手いと言われればそうで、実際そこそこ拡散されたツイートだったけど、私は心底腹が立った。

あなたが勝手に規定する他人の現実って、一体なんだ?液晶画面の向こうに現実が広がっている場合だってある。あるいは、閉じた瞼の奥にも。電車に乗り合わせただけの人間、それも上手いこと言ってしたり顔でちやほやされたいだけの人間に、何が分かる?

 


昔はもっと、よく怒っていた気がする。大学生の時より高校生の時の方が、高校生の時より中学生の時の方が。その時の延長で、未だに自分は心の狭い人間だと思ってしまうけど、実際は気付かぬうちに穏やかな人間になっていたのかも。穏やかになったというより、怒る分だけのエネルギーを失ってしまったというだけの話だろうか。