暮らす豆

ゆるい日記など

箱舟

8/8

 


私は「何もしない」才に長けている。そう信じないと頭がおかしくなってしまいそうなくらい、やらなきゃいけないことに向き合えない!

弟がやっているゲームを横でぼんやり眺め、何度も読んだ本をまた読み返す。Wikipediaおやすみプンプンについて調べる。今日行った活動はこれくらい。それでも私は心地よく疲れている、恐ろしいな。

何もしなくても、私の周りにいる人は誰も怒らない。実は、意図して怒らない人を身の回りに配置しているのかもしれないな。

 


もしお金も時間も仕事も周りの目も気にせず、なんでも好きなことをしていい!と言われたら。

私はまず、心ゆくまで寝るだろう。布団と身体が一体化してしまうまで眠りたい。

気が済んだら、ごく軽い荷物だけ持って家を出る。新宿駅に行って、ちゃんと行き先を確認しないで適当に高速バスに乗りたい。そして、行ったことのない地方都市に行きたい。そして見たことも聞いたこともない人たちが暮らしている街、できれば住宅街の中を歩きたい。住宅街は住人でない人に決して媚びてこないので好きだ。足が疲れたら、駅の周りに戻ってファミレスでご飯を食べながら休憩。

一息ついたら、鈍行に乗って自分の住む街へ帰る。ぼーっと窓の外を眺める、景色が流れ去っていく。たぶんいつの間にか眠ってしまう。

夜中になって家にたどり着いたら、買っておいたグレープ味のスミノフを開ける。アロマキャンドルの灯りだけで救いようのない映画を見ながら、お酒を飲み干す。きっと誰かに電話したくなってしまうけど、ぐっとこらえて布団に入る。ろうそくの灯りを消す。好きな人の顔をぼんやりと思い浮かべながら、眠りにつく。