暮らす豆

ゆるい日記など

小さなわにの話

小さなわには勇敢だ。灯ひとつなく真っ暗な道でも、確かな足取りで進む。

小さなわには優しい。わたしが恐ろしさに身をすくませ動けなくなっても、足にそっとまとわりついて励ましてくれる。

小さなわには恥ずかしがりだ。わたし以外の人が現れると、ぴゅっと飛び上がって物陰に隠れる。

小さなわには雄弁だ。口こそきけないけれど、その身ぶりは言葉よりずっと多くを物語る。

小さなわには、いつの間にか消えてしまった。わたしはこっそり、あれが人間だったのではないかと思っている。